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新 勝手にコム論

元宝塚歌劇団雪組トップスター朝海ひかるさん!舞台道を走り続ける朝海さんのちょっぴり昔の記録です^^

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お金はなくても自由が1番


『マニアンケート08』で学んだ事。

論者が勝手に用意した答えは全く持って、
ファンの心を分かっていなかったという衝撃事実!!!


これまで4回ほど2007年に開催してきたマニアンケートには
「その他」枠を設けていなかったんですよねぇ。・゚・(ノД`)・゚・。・。
きっと投票者の方々は渋々一票を下さってた感じですねぇッ。


これからは「その他」を絶対に設けることを宣言しますよ!

それにしても、皆様の「その他」の答えが面白い。
ホントに十人十色なんですもの(*´∀`*)


コムちゃん愛されてんなぁぁ~~!!


4月9日までの開催なので(たぶんそう設定した気がします)
細々と、いろいろなお答えを期待しております・・・(*´∀`*)ノ





ところで、昨日11時前に帰宅しまして、
ポチっとテレビを付けました。

『ハリー・ポッター』がかかりました。
論者は原作も読んだ事がなければ、映画も観に行っていませんので
あらまぁ・・・ハリー可愛いなぁ・・・と
暫しの間、集中しておりました。

ハリーも終わり、チャンネルをかえますと、
『オールスター感謝祭』がやっていました!!
論者、この番組好きなんですよ!
あのゴチャゴチャ感が好きで(・∀・)ノ
そうしている内に「ローション相撲」が始まり、
(ローションを体に塗りまくり、ベトベトで相撲するの・・・。)
そのコーナーがあまりに長いので飽き飽きしてきまして・・・

またチャンネルをかえました・・・。


するとすると、28日の夜にかなり本気モードで見入っていた
『タイタニック』の後篇が放映されているではありませんか!!


しかも既にジャックが死んでいた・・・・ッッ!!



。・゚・(ノД`)・゚・。・。



うぉ~~~ッ!!
2夜連続だったとはぁぁぁぁ~~~!!不覚。


ビデオは持っているんですけどね(・ ・)
でもわざわざ再生するほどでもないけれど、
テレビでやっていると見たくなる映画ってあるじゃないですかぁ!!
『タイタニック』はその筆頭なのにぃぃ~~。


ローズがビィビィと笛を吹くところからは見たんですけれど・・・。
あ~惜しいことをしたなぁ・・・。




ローズって貴咲美里ちゃんに見えて仕方ない・・・。


そしてジャックはもちろん朝海さん(*´∀`*)(*´∀`*)



朝海さんと美里ちゃんの組み合わせって、
論者けっこう好きだったんですよ。

美里ちゃんは声が美しいので、コムちゃんの低い声によく合ってて!
『凱旋門』でしか実現しなかったペアだけれど、
あの2人の歌は耳心地が良かったな~~(*´∀`*)


お金持ちのローズ美里ちゃんを
自由の世界に連れて行ってあげる貧乏ジャックコム。

99年から2001年くらいの若さと熱さを兼ね備え始めたコムちゃんに
ピッタリだったろうな~と思いながら、前篇を楽しんだのであります。



『タイタニック』のジャックといい、
『ムーランルージュ』のクリスチャンといい、
論者は若かりし熱いコムちゃんに
お金は無いけれど、自由は1番だと知っていて、
惚れちゃった相手は手の届かない女性・・・という
設定を当てはめちゃいたいらしい・・・・・(*´∀`*)


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朝海さんと武田くんと・・・


エリザベート@中日劇場のキャスト表をまじまじと見つめ、


どこに狙いを定めようかぁぁぁぁ~っと今から考えています。


コムちゃん、武田くん、鈴木さん、浦井くんの組み合わせを
なんとな~く狙っていたのですが、たったの1回しかないのね(`ε´;)

しかも土曜日だからな。



まぁ、コムちゃんが観れたらイイやッ
最終的にはそこに行き着くのですが(笑)



『トライアンフ』の東京公演がもうすぐ始まりますね。
WOWOWでは稽古場が流れたらしいですが、
それは残念ながら見る事ができないので、
スカステのOGナビを待つことにします(*´∀`*)

最近のOGナビは、真琴さんか、湖月さんか、大地さんか・・・
の繰り返しだったように思うので(違うかな・・・。)

久しぶりにコムちゃんに尺をとってくれることを願います☆




2日ほど前から密かに開催していますマニアンケート08(*´∀`*)


「この役が無ければ、コムファンではなかった!かも?」との問題に
論者もん~ん~とかなりそれらしいのを考えたつもりだったのですが、

ところが、ところが、

かなり「論者は分かってない→その他」への投票が多いという(笑)

コメントを書き残して下さった方々によりますと、

「マールでしょッ!!」

「グレ天でしょッッ!!」


というように、全くもって、論者が考えなかったお答えが多くて(笑)


コムちゃんの魅力ポイントってやっぱり人それぞれなのですね~~!


最終的にどんな結果になるのか楽しみですねぇ(*´∀`*)

よろしく清き一票をお願い致します。



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朝海シシィ現る


出たッッ!!

『エリザベート』の扮装写真が出たよぉ(*´∀`*)


エリザベートのコムちゃん


これぇ!!かっわいい!!!

このニンマリとしたお顔!!

エリザベートの勝気な感じがでていますね~~(*´∀`*)


コムちゃんは最近、おデコをよく出していますが、
今回もデコ丸出しッッ!!

生え際もキレイだし、おデコの面積もちょうどイイ!!デコ美人ですねぇ。


このままスカーレットも出来そうな雰囲気もしますね(・∀・)ノ


舞台化粧はまた違うものになるのかもしれないけれど、
扮装写真から想像するに、かなり素敵なエリザベートになりそうですね。



論者は誰が何と言おうと、
トライアンフ組のカポウを応援するぞ!!


久しぶりに気合は充分だッッ!!


東宝エリザもちらしって出るのかしら・・・?(*´∀`*)

早く全身写真が見たいわ~!!

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和服の朝海さんネタで⑤


最近は若々しい時代の男役・朝海ひかるをよく上映します。

『SAY IT AGAIN』なんて、何だかとっても微笑ましい。

コメディセンスがあるんだか、無いなんだかと言えば、
いんでしょうが・・・。

でも、この『SAY~』時代のコムちゃんはセンスが感じられますよ!

『再会』のセンスの無さが嘘のようよ。・゚・(ノД`)・゚・。・。
『君に恋して~』のときもセンスあったのになぁ・・・
どうしたもんかなぁ~(`ε´)ノ


そして女優の朝海さんがトライするのはこれまたラブコメという事で!!
きっと今回は若かりし頃のコメディエンヌ・コムを拝めるはず(*´∀`*)

公式ブログも出来たようで、とっても楽しみですねぇ!!



それでは「おみつさん」いってみよぉ!!
知らぬ間に下巻に突入(*´∀`*)ノ








その夜もたっぷり更けてから、おりんは1人、階上の座敷へと上がっていった。


ふね屋のなかは静まり返っているが、寝静まっているわけではない。大人たちは台所にいる。片付けをすっかりと終えてはいたが、太一郎も多恵も腑抜けのようになっている。気丈なおつたも珍しく涙ぐんでいた。


おりんは話がしたかった。誰か・・・お化けさんと。

いつものように中段に腰かけていれば、玄之介が来てくれるかもしれない・・・・・と、おりんが座敷から階段の方へ歩いたとき、座敷の端っこで何かが光った。


そこにはおどろ髪が座っていた。


おどろ髪は両腕で身体をかかえて座っている。光ったのは彼の頬だった。彼はまた泣いていた。


おりんはほとんど怖いという感情を持たず、おどろ髪に話しかけた。

おりんは優しく話しかけた。


彼は上手く口が利けなかったが、ゆっくりと話し出した。


彼は昔、人を斬ったのだ言う。大勢の人を斬ったと。


そしておりんに言う。あの銀次という男に近づいてはいけないと。そして自分もあの兄弟と同じ様に、血を分けた兄弟を殺したのだと。


おりんが身震いをした瞬間、おどろ髪はそこから消えていた。



おどろ髪は、彼自身の兄か弟を手にかけたのだ。
おどろ髪は、自分の兄弟を殺した事を深く悔いて、それが故に迷ってしまっていると考えれば、彼がなぜ島次と銀次の揃っている場所に現れて、手放しでおいおい泣いていたのかという謎は解ける。島次と銀次の間にあった出来事は、明らかにおどろ髪の胸の傷を疼かせた。おどろ髪には自分が過去に犯した所業そっくりに思えたのだろう。


そしてもう1つ。おみつの言葉も思い出された。おどろ髪の魂を迷わせているのは若い女に関わる事柄だと、彼女は言っていた。だからあの人は若い女がやってくると気持ちを乱して迷い出てくるんだよ・・・と。




次の日、おりんはまた1人、銀次のこと、おどろ髪のことを調べるべく、街中を動き回った。そこで得た情報を1人で抱え込みふね屋に戻ってきたおりん。

するといつもの場所に、玄之介が腰をおろし、両手で頬を支えて所在なさそうにしているのが見えた。ちゃんと先回りして待っていてくれたのだ。

「玄之介さま!!」おりんは階段を駆け上がった。



おりんは1日中歩き回って、得た話を玄之介に話した。

おりんの父親である太一郎の育ての親、七兵衛おじいちゃんから聞いた話では、白子屋にはお静の他にもう1人、外腹の娘がいるということ。

七兵衛おじいちゃんの妻、おさきさんには銀次のお化けさんの姿が見えていたということ。

おりんの前に現れてはあかんべえをするお梅というお化けが孤児であったということ。

この辺りの土地に詳しい孫兵衛じいさんの家で厄介になっている孤児ヒネ勝にはお梅の姿が見えるということ。




おりんと玄之介の推理合戦が始まった。

おりんにはなぜお化けの姿が見えるのか・・・

「こちらに引っ越してきてすぐに、おりんは病で本当に辛い思いをしたよな?命が危ないところだった。按摩のじいさんが出てきて揉み治療をしたろう?あのあと、じいさんが言っていたぞ。あの女の子の身体はボロボロだ、本当に紙一重のところで命を救ったと。

お前は、その年で命ぎりぎりの恐ろしい経験をした。あの世の手前までいって、三途の川のさざ波の音を聞き、その上でこの世に引き返した。この経験がお前の中に根付いて、お化けを見る力を生んだのではないか。俺はそんなふうに考えるのだ。」

おりんは少し考えてみた。
「玄乃介さまの仰ること、あたし分かるような気がする。でもね、玄之介さまの仰ることが正しいとしたら、銀次さんのお化けを見たことがあるおさきおばちゃんも、お梅に会って話をすることのできるヒネ勝も、2人とも命が危なくなるような経験をしていなくちゃおかしいでしょ?」


すると玄之介はぴしゃりと膝を打った。
「そう、おりんの言うとおりだ。それが2つ目の問題にも繋がる」



普通の人間にもお化けの姿が見えることがあるのか・・・

「お化けと人間の間に、似たようなものがある場合、それぞれに似たような気持ちのしこりを抱えている場合・・・

ヒネ勝にはお梅が見える。2人とも孤児で、そのために寂しい思いをして、苦労しているからな。

おさきおばちゃんの場合は・・・。島次と銀次の兄弟の間には不幸なことだが、難しい気持ちのこじれがあったようじゃないか。おりんはおさきおばちゃんの親兄弟の話を聞いたことがあるかい?もしかしたら、仲たがいした兄弟がいるとか、早くに病気で亡くなった姉妹がいるとか、そういことがありはしないかね?そのことをずっと、あさきおばちゃんは心に残して悲しく思っているのかもしれない。」



そしておどろ髪の暴れた理由は何であるか・・・

「おどろ髪は2つの宴席に現れた。だが振る舞いはずいぶんと違うぞ。最初のときは刀を持って暴れた。だがお化け比べのときには手放しで泣いていただけだった。あいつがただの乱暴なお化けであるのなら、どちらの宴席でも同じ様に暴れるはずなのに、おかしいじゃないか。何が違っていたのだろう。」

「お化け比べのときには若い娘さんがいました。白子屋さんのお静さん。でも最初の宴席はおばさんたちばっかりでした・・・・・。おどろ髪さん、若い娘さんを見ると悲しくなるのかな」

「どうもそのようだ。ひとつの要素としてそれがありそうな気がする。なあ、おりん。白子屋のお静にはおかしなことがあるよな?」


お化け比べの前にやって来た娘と、当日やってきた本物のお静とが別人であったということだ。

「七兵衛じいさんは、白子屋には外腹の娘がもう1人いるから、最初に来たのはそっちの娘じゃないかと考えているそうじゃないか。俺もその外腹の娘は大いにくさいと思うぞ。ここにも兄弟姉妹の葛藤というやつがあるじゃあないか。

おどろ髪はおりんに、俺は兄弟を殺したと言ったのだろう?兄と弟のいさかいと、若い娘の存在・・・・・どうもその辺りにおどろ髪が成仏できずにいる理由がありそうじゃないか」


おりんはひどく悲しい気持ちになって、鼻先がツンとした。
「あのね、おみつさんも言ってた。おどろ髪さんを迷わせているのは、若い娘さんに関わる事柄だって」


「なあんだ」玄之介はがくっと姿勢を崩した。「これは俺の発見ではなかったのか。おみつめ、俺にはそんなこと、ちらりとも匂わせてはおらなんだぞ。女は女同士というわけか」


「玄の字、あんたもバカだねえ」
突然、艶っぽい笑い声がして、おみつが2人の前にすうっと現れた。階段の1番下の段に横座りに腰掛け、すんなりとした首をよじって、こちらを見上げている。櫛巻きにした髪がつやつやと光って、沈丁花の匂いがする。

「男が心を乱すことといったら、女に決まっているじゃないか。あんたときたら、そんなことも分からないのかえ。粋人を気取ったところで駄目だねえ。」
おみつは紅いくちびるを尖らせて、うふふと笑った。


「言ってくれるなぁ」玄之介は苦笑した。


おりんは彼女のそばまで、階段をずり降りた。
「ねえ、おみつさん。あたしたちの考えていることは、きっと当たっていると思うの。あたしたちの考えているとおりだと思うの」


「そうだねえ。でもおりんちゃん、そんな一途な目で人を見るのは、いつか恋しいお人ができるときまでお待ちよ。あんたのその目ときたら、たいそうな出来物だよ。今は大事にしまっておきな。」

おりんは真っ赤になった。
「おみつさんたら、からかうんだもの」

「からかっちゃいないさ、本当のことだよ。とにもかくにも、おりんちゃん。おどろ髪はあんたにだけは心を開きかけているようだから、またあんたの前に姿を見せるように働きかけて、心にとめておいてやっておくれでないかい?あんまりしょっちゅう壁や障子に向かって話しかけていると、あんたのおっかさんが心配するだろうから、内緒でねえ」

「うん、分かった。そうします」

おりんがうなずいたとき、表の方から騒がしい声が聞こえてきた。おりんはぱっと立ち上がり、駆け出した。


おりんの母、多恵が心労により倒れたらしい。多恵は障子紙のように真っ白な顔をしていた。おりんは「お母ちゃん!」と叫びながら、太一郎の肩にもたれかかり、真冬の水のように冷たい母の手をにぎりしめた。



ふね屋の人々があわて騒ぐのを、玄之介とおみつは、階段に座ったまま静かに眺めていた。
「やあ、とうとう倒れてしまったか。開店早々のご難続きで、疲れが出るのも無理はないが・・・。しかし、これでおっかさんが寝付いてしまったりすると、おりんはますます可哀相だなぁ」


「あの子はしっかり者だからね」
おみつは言って、襟足のほつれ髪をしなやかな手つきで撫でつけた。

「女の子ってのは、悲しいものさ。しっかり者はしっかり者で、まわりの難儀を放っておけなくて、少しでも役に立とうと何でも引き受けるから、自分で自分を苦労させる。そんならうつけ者なら幸せかっていうと、これがまたそうじゃない。そういう女の子には、そのうつけに付け込む男がくっついて、ちゃんと苦労を運んでくるんだ」


「おいおい、嫌味を垂れてくれるなよ」
玄之介は首をすくめた。



そんな2人の前を、どたどたと慌しく、おつたが駆けて行く。どうやら医師を迎えに行くようである。おつたが外へ飛び出すと、奥から追いかけるように七兵衛じいさんの声がした。2人には内容までは聞き取れなかったが、おつたが元気よく「はい、分かりました!」と応じる声ばかりが威勢良く、空っぽの天井に響いた。



「俺の目には、あれもしっかり者の女の子のなれの果ての姿・・・・・まあ、しっかり者の一派に見える。それにおみつ、あの人は自分で自分に苦労をさせてるかもしれないが、楽しんでそれをやっているようだぜ」


おみつはすんなりとした首をうつむけて、深い溜息をついた。彼女があんまりうなだれたので、玄之介のところからは、うんと抜いた着物の後ろ襟を通り越して、背中の上の方まで丸見えになった。

「これはこれは、眼福だ」

玄之介の言葉に、おみつは頭を持上げると、さも呆れたというように舌打ちをした。

「なんだ、誉めているのに苦い顔かい?」


「まったく、あんたって本当に、女のことが何も分かっていないんだねえ」


玄之介はきょとんとした。おみつは彼には目もやらず、おつたが慌しく出て行った戸口の方へと首をかしげてみせた。

「あの女があんなに嬉しそうにしているのは、喜んで苦労を背負っているからじゃない。そんなことぐらい、あの顔にかいてあるじゃないか」


「どういうことだ?」



「想う男を手に入れるのに・・・」

おみつは憂いの顔のまま、ゆっくりと節をつけて謡った。

「邪魔をするのは たえぬ苦労の さざ波ばかり 
漕いで渡るは 漕いで渡るは 浮き世の 女船頭  
ちん、とん、しゃんとね・・・・・」








おみつ朝海さんが謡ってますねぇ(*´∀`*)
何だか色っぽい。

どんどん朝海姐さんにしか見えなくなってきましたね。
洗脳の域だな・・・コレは(笑)


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和服の朝海さんネタで④


※朝海さんが以前「クロワッサン」で披露された和服姿があまりにお似合いだったので、勝手に『あかんべえ』の艶っぽい和服美人おみつさんを朝海さんと仮定して読んでいこうという企画です・・・。お暇つぶし企画(*´∀`*)4弾目ッッ!!







宴席は陽が落ちてから始まった。

白子屋と浅田屋は別々の座敷に案内され、太一郎と島次の膳を囲んだ。おりんは太一郎が料理の説明にと入った白子屋の座敷の壁にぴたりと身体をくっつけて、聞こえてくるやりとりに耳を澄ませた。


お化けさんは宴席には出なかったのだろうか。いや、それよりも島次に似たお化けさんはどこにいる?おりんは周囲を見回したが、さっき見た怖い顔の男の幽霊が今はどこにも見えなかった。

白子屋の座敷から聞こえてくる会話が何やら、騒々しくなった。白子屋のお静の霊おろしが上手くいかなかったのは、この太一郎のお膳のせいだという声だ。おりんは少しばかりおかしくなって、声をもらさないようにしっかりと口を閉じて笑った。結局お静は失敗したということか・・・。それとも先に来た時にきれいに祓いすぎてしまったとでもいうのだろうか。

そもそも按摩のじいさんは最初からお静のことを全然認めていなかったのだから。実際おりんは尋ねてみたかった。おりんに見えるこの家のお化けさんたちのうち1人でも、お静には見えたのだろうか・・・。


中の様子が、いよいよ騒々しくなってきた。それは太一郎が言い出したことから始まった。「先日、お嬢様お1人で起こし頂きました際には、座敷を見回って、座敷を掃き清めるようなものだとおっしゃって、お祓いをして下さいました。」

お静の声が裏返った。「何ですって?」
「あなた、なんでそんなデタラメを言うんです?いったいどういうことなのこれは!!」

がちゃんという音がした。誰かが膳を倒したか、膳を叩いたかしたようだ。

「分かりましたよ、あなたたち、浅田屋さんに何か言い含められたんでしょう?そうやってデタラメを並べてお静の気持ちを乱したり、わざと塩気のきつい料理を出して霊おろしの邪魔をして、白子屋の顔を潰そうとしたんでしょう?言いなさい。浅田屋にいったいいくら握らされたんです?」

とんでもないことになってきた。階段の方から音がする。多恵だった。大きな声を聞きつけて、様子を見に上がってきたのかもしれない。おりんは廊下で狼狽した。隠れるところがどこにもない。どうしよう。

そのとき、冷たい風が顔を撫でたかと思うと、階段の手すりの向こうに、おみつがふと姿を現した。何もない暗がりに、闇を分けてすらりと立ち出たおみつは、そのまま廊下をすうっと進んで、おりんの傍らへとやってきた。宴席の前に会ったときと同じ櫛巻きの髪に浴衣姿で、すっかり闇になったこの時刻に見ると、少しばかり寒そうだった。

「じっとしていなさいな。あたしが隠してあげるからね。」
そう言って、おりんのそばに腰をおろすと、守るように背中にかばってくれた。とっさのことだから、おりんには半ば透けたようなおみつの身体が本当におりんを隠すことができるのどうか、問いかけている余裕はなかった。

心配そうに階上の様子をうかがいながら、多恵が階段を上がってきた。その間にも白子屋の座敷でのやりとりは怒気を増して、お静の声はどんどん大きくなる。太一郎のなだめるような物言いも、かき消されて切れ切れにしか聞こえない。

浅田屋の座敷の唐紙が開いて、おつたが顔をのぞかせた。給仕のついでに話し込んでいたらしい。おつたの後ろに浅田屋の娘おりくの顔がのぞいた。浅田屋の人々の顔は少しばかり笑っている。白子屋の方でいったい何の騒ぎが起こったのかと、面白がっている様子だった。


「おやおや正直なもんだねえ。笑っているじゃないか。」おみつは喉をならしておほほと笑った。

「浅田屋さんはお化け比べに勝ったと思っているのかしら・・・」おりんはおみつに問いかけた。「あらまあ、どっちの勝ちも負けもないよ、おりんちゃん。だってごらんな、あの人たちの誰かの目に、あたしとおりんちゃんの姿が見えてるかい?」

見えてはいない。見えているもんか。

「わかってるんだ、あたしも。按摩のおじいさんも言ってた。あてにならないって。」


浅田屋も白子屋の座敷にぞろぞろと入り、ほとんど喧嘩のようなやりとりが続いた。

「だけどさ」おりんはおみつのそばで小さくなりながら続けた。「霊おろしがインチキかどうかってことと、お化け比べの勝ち負けは、また全然別の話なんだよ。だってお父ちゃんとお母ちゃんは、あたしみたいにおみつさんたちとは話ができないから、白子屋さんと浅田屋さんの言うことに振り回されちゃう。」

「そうか、そうだよねえ。考えてみりゃ迷惑な話だね」

「お化け比べなんかさせなくたって、あたしの目に見えることを正直に打ち明ければよかったんだ。そしたら、こんなインチキな人たちに利用されることもなかった。ちょっとの間でも、お静さんやおりくさんの霊おろしが上手くいけば、ふね屋からお化けさんたちを成仏させることができるかもしれないなんて、考えたあたしがバカだった」

思わず口走った本音だった。おみつはおりんを優しく見下ろして、何も言わずに微笑んだ。

あたしがバカだったんだ。こんなのお化け比べでもない。宴席でさえない。仲たがいをしている2つの家が、太一郎の工夫した美味しい料理を無駄にして、その膳を倒していがみ合っているだけじゃないか。

「し、じっとして」おみつが涙ぐむおりんを押し留めた。「ほら、ご覧よ、おりんちゃん」

おみつの指差す先に、おどろ髪が立っていた。今日もあの日と同じ、右手には抜き放った刀をさげている。

「おみつさん、あのお侍さんのことで何か知ってるの?」
「知りゃしないさ。玄の字は何か言ってるかい?」
「あのひとのことはよく分からないって」
「それはあたしも同じだけど、でもあの人は何か女のことで心にかかっていることがあるんだよ。こういうことについちゃ、あたしの勘に間違いはないね。きっと色恋がからんでいるのさ」少し笑いながら、おみつは言った。
「動いちゃ駄目だよおりんちゃん、隠れておいで」


廊下でごちゃごちゃと揉めていた一同は、結局白子屋の座敷へとなだれ込んだ。きゃあという悲鳴があがった。おりんはとっさに、悲鳴に刺激されて、またおどろ髪が暴れ出すのではないかとヒヤリとした。


「あたくしはインチキなんかじゃないわ!!」
お静が泣き叫ぶ。その時に、おどろ髪がビクリと反応してがくんと口を開けた。おりんは緊張した。今にもおどろ髪の刀をつかんだ手が持ち上がる・・・・・そして彼は座敷に暴れ込み・・・・・

その時、島次がすっと立ち上がった。その顔は面のようにのっぺりとして、ほとんど表情がなかった。ぽかんと開いた両目は節穴のように真っ暗で、そこには何の明かりも映っていない。


おりんはぞっとした。おみつは首筋を固くして、目を細めた。
島次の後ろにまたあの男のお化けさんが立っていた。島次に似たそのお化けさんの半分透けた身体が、すっかりと島次の上にかぶってしまった。

そして島次の口が開いた。
「ここから出て行け!みんな出て行け!出て行かねば取り殺してくれる!」

一同は呆気にとられて声も出ない。
おどろ髪が「おうおう」と声を上げた。おりんは鋭くそちらを見返り、そして、おどろ髪の血走った眼からどっと涙が溢れるのを見た。

「何という口のききようだ!!」
白子屋長兵衛が島次を睨みつけて憎憎しげに吐き出した。その瞬間、島次は白子屋長兵衛の首っ玉に両腕をかけてぐいぐいと締上げる。あまりの恐ろしさに棒立ちになっていた一同は、正気に戻り、一斉に島次の方へ殺到した。

「その手を離さんか、白子屋さんを殺す気か!!」
浅田屋為治郎が唾を飛ばして怒鳴りながら、島次の腕をとった。白子屋はぜいぜいと喉を鳴らし、咳き込みながら床を這って逃げ出した。

「おや、まあ。ご覧よおりんちゃん。」おみつが驚いたように声を撥ね上げた。為治郎と太一郎に羽交い絞めにされた島次は急にしゅんとおとなしくなった。まるで操り人形の糸が切れたみたいだった。そしておりんは見た。島次に似たあの男のお化けさんが、彼の身体からすうっと離れて出てくるのを。


「ちょいと、あんた」
おみつがするりと立ち上がりながら、男のお化けさんに声をかけた。撥でピンと弾くような、鋭い問いかけ。
「他所様の座敷を土足で踏み荒らすような真似は粋じゃあないね。あんたはどこのどなただい?」

男のお化けさんと対峙するおみつは、人が変わったように厳しく怖い顔をしていた。その爪はにわかに尖り、その口はにわかに毒を持った。

「女のくせに、やけに威勢のいい口をきくね、姐さん」男のお化けさんはそう言って、しわりとこちらに近づいてきた。
「俺がどこの誰であろうと、姐さんに何の関わりもなかろうに」

おみつは微動だにせず、ひるんだ様子もなかった。眉の間に深いしわを刻んで、心もち首をかしげてはいるが、背筋はしゃんと伸びている。
「関わりはあるよ。ここはあたしの縄張りだもの。一言の挨拶もなしに、ここで暴れられては、あたしの顔が丸つぶれだ」

「そいつはすまねえ、だがな姐さん、俺には俺の言い分があるのよ。あれは俺の弟でな・・・」お化けさんは気絶した島次が運び込まれた座敷の方へ顎をしゃくった。「あれは俺の弟でな。10年ばかり前、俺はあいつに殺されたのだ」


「あの人は島次さんといって、ここの料理をこしらえている板場の人だよ」おみつは確認するように、ゆっくりと男のお化けさんに問いかけた。「本当にあんたの弟なんだね?」

「俺は銀次だ。姐さん、よろしくな」

おみつはお愛想を返さなかった。
「あんたは島次さんを恨んで憑いているのかえ」

「そらそうだ。恨むだけの理由はたんとある。店を盗られた。女房子供を盗られた。命を盗られた。」
「あんたが憑いていることを島次さんは知っているの?」
「知っているさ。俺はさんざん夢枕に立ってやったのだから」
「あんたは島次さんをどうしたいの。今日のように人前でおかしな振る舞いをさせたって、それがあんたの益になることとも思えないけれどね」

「俺は島次の身体を乗っ取りたいのだ」
銀次のお化けさんはあっさりと答えた。
「あいつの魂を身体から追い出して、そこへ入り込んで、あいつの身体で残りの人生を生きたいのだ」

「姐さん、あんたにとっちゃ縄張りを荒されているようで不愉快だろうが、ここはひとつこらえちゃくれねえか。俺は長年かけて島次の魂を痩せさせてきた。あと一息であいつの魂を掻きだすことができる。そうしたらもう姐さんには迷惑をかけねえ。姐さんが望むなら、姐さんのために何か供養になることをしてやったっていいんだぜ」

早口にそれだけ言い切ると、彼は霧のように姿を消してしまった。


白子屋と浅田屋の一家は逃げるようにしてふね屋から去っていく。そのときにお静の顔をまじまじと見たおりん・・・。

「ねえ、お父ちゃん、あれはお静さん?先に来たお静お嬢さんとは違う人だよ」太一郎は最初、おりんの声など聞いていないようだった。でも袖に追いすがって何度も同じことを言うと、ようやく彼の目が晴れ、足が止まった。

「何だって?」
白子屋一家は階下へ下り、履物を履いている。その娘の横顔を確かめるようにして、太一郎はぽかんと口を開けた。「本当だ・・・」

「今度は何だと言うのだ!」うるさそうに太一郎を振り返って、長兵衛が言った。乱暴に押しのけられて、太一郎はよろめいた。


こうしてお客は誰もいなくなってしまった。


太一郎は玄関先に突っ立って、泣くような声でどういうことなんだと呟いた。おりんは父親の泣き顔を見るのが怖くて、助けを求めるような気持ちで階段の上を仰いだ。



しかし、おみつも玄之介もおどろ髪も、姿を消していた。すうっと寒いような風が吹き降ろしてきて、おりんの髪を撫でただけであった。









にゃぁぁぁぁぁあ~!!おみつッッ!!長いッっ!!


そうこうしている内に『トライアンフ』が始まっちまうよぉぉ!


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私の毎日は朝海さん一色!!そんな約4年間の記録です。

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