新 勝手にコム論
元宝塚歌劇団雪組トップスター朝海ひかるさん!舞台道を走り続ける朝海さんのちょっぴり昔の記録です^^
和服の朝海さんネタで⑤
- 2008/03/19 (Wed) |
- 脳内コム論 |
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最近は若々しい時代の男役・朝海ひかるをよく上映します。
『SAY IT AGAIN』なんて、何だかとっても微笑ましい。
コメディセンスがあるんだか、無いなんだかと言えば、
無いんでしょうが・・・。
でも、この『SAY~』時代のコムちゃんはセンスが感じられますよ!
『再会』のセンスの無さが嘘のようよ。・゚・(ノД`)・゚・。・。
『君に恋して~』のときもセンスあったのになぁ・・・
どうしたもんかなぁ~(`ε´)ノ
そして女優の朝海さんがトライするのはこれまたラブコメという事で!!
きっと今回は若かりし頃のコメディエンヌ・コムを拝めるはず(*´∀`*)
公式ブログも出来たようで、とっても楽しみですねぇ!!
それでは「おみつさん」いってみよぉ!!
知らぬ間に下巻に突入(*´∀`*)ノ
その夜もたっぷり更けてから、おりんは1人、階上の座敷へと上がっていった。
ふね屋のなかは静まり返っているが、寝静まっているわけではない。大人たちは台所にいる。片付けをすっかりと終えてはいたが、太一郎も多恵も腑抜けのようになっている。気丈なおつたも珍しく涙ぐんでいた。
おりんは話がしたかった。誰か・・・お化けさんと。
いつものように中段に腰かけていれば、玄之介が来てくれるかもしれない・・・・・と、おりんが座敷から階段の方へ歩いたとき、座敷の端っこで何かが光った。
そこにはおどろ髪が座っていた。
おどろ髪は両腕で身体をかかえて座っている。光ったのは彼の頬だった。彼はまた泣いていた。
おりんはほとんど怖いという感情を持たず、おどろ髪に話しかけた。
おりんは優しく話しかけた。
彼は上手く口が利けなかったが、ゆっくりと話し出した。
彼は昔、人を斬ったのだ言う。大勢の人を斬ったと。
そしておりんに言う。あの銀次という男に近づいてはいけないと。そして自分もあの兄弟と同じ様に、血を分けた兄弟を殺したのだと。
おりんが身震いをした瞬間、おどろ髪はそこから消えていた。
おどろ髪は、彼自身の兄か弟を手にかけたのだ。
おどろ髪は、自分の兄弟を殺した事を深く悔いて、それが故に迷ってしまっていると考えれば、彼がなぜ島次と銀次の揃っている場所に現れて、手放しでおいおい泣いていたのかという謎は解ける。島次と銀次の間にあった出来事は、明らかにおどろ髪の胸の傷を疼かせた。おどろ髪には自分が過去に犯した所業そっくりに思えたのだろう。
そしてもう1つ。おみつの言葉も思い出された。おどろ髪の魂を迷わせているのは若い女に関わる事柄だと、彼女は言っていた。だからあの人は若い女がやってくると気持ちを乱して迷い出てくるんだよ・・・と。
次の日、おりんはまた1人、銀次のこと、おどろ髪のことを調べるべく、街中を動き回った。そこで得た情報を1人で抱え込みふね屋に戻ってきたおりん。
するといつもの場所に、玄之介が腰をおろし、両手で頬を支えて所在なさそうにしているのが見えた。ちゃんと先回りして待っていてくれたのだ。
「玄之介さま!!」おりんは階段を駆け上がった。
おりんは1日中歩き回って、得た話を玄之介に話した。
おりんの父親である太一郎の育ての親、七兵衛おじいちゃんから聞いた話では、白子屋にはお静の他にもう1人、外腹の娘がいるということ。
七兵衛おじいちゃんの妻、おさきさんには銀次のお化けさんの姿が見えていたということ。
おりんの前に現れてはあかんべえをするお梅というお化けが孤児であったということ。
この辺りの土地に詳しい孫兵衛じいさんの家で厄介になっている孤児ヒネ勝にはお梅の姿が見えるということ。
おりんと玄之介の推理合戦が始まった。
おりんにはなぜお化けの姿が見えるのか・・・
「こちらに引っ越してきてすぐに、おりんは病で本当に辛い思いをしたよな?命が危ないところだった。按摩のじいさんが出てきて揉み治療をしたろう?あのあと、じいさんが言っていたぞ。あの女の子の身体はボロボロだ、本当に紙一重のところで命を救ったと。
お前は、その年で命ぎりぎりの恐ろしい経験をした。あの世の手前までいって、三途の川のさざ波の音を聞き、その上でこの世に引き返した。この経験がお前の中に根付いて、お化けを見る力を生んだのではないか。俺はそんなふうに考えるのだ。」
おりんは少し考えてみた。
「玄乃介さまの仰ること、あたし分かるような気がする。でもね、玄之介さまの仰ることが正しいとしたら、銀次さんのお化けを見たことがあるおさきおばちゃんも、お梅に会って話をすることのできるヒネ勝も、2人とも命が危なくなるような経験をしていなくちゃおかしいでしょ?」
すると玄之介はぴしゃりと膝を打った。
「そう、おりんの言うとおりだ。それが2つ目の問題にも繋がる」
普通の人間にもお化けの姿が見えることがあるのか・・・
「お化けと人間の間に、似たようなものがある場合、それぞれに似たような気持ちのしこりを抱えている場合・・・
ヒネ勝にはお梅が見える。2人とも孤児で、そのために寂しい思いをして、苦労しているからな。
おさきおばちゃんの場合は・・・。島次と銀次の兄弟の間には不幸なことだが、難しい気持ちのこじれがあったようじゃないか。おりんはおさきおばちゃんの親兄弟の話を聞いたことがあるかい?もしかしたら、仲たがいした兄弟がいるとか、早くに病気で亡くなった姉妹がいるとか、そういことがありはしないかね?そのことをずっと、あさきおばちゃんは心に残して悲しく思っているのかもしれない。」
そしておどろ髪の暴れた理由は何であるか・・・
「おどろ髪は2つの宴席に現れた。だが振る舞いはずいぶんと違うぞ。最初のときは刀を持って暴れた。だがお化け比べのときには手放しで泣いていただけだった。あいつがただの乱暴なお化けであるのなら、どちらの宴席でも同じ様に暴れるはずなのに、おかしいじゃないか。何が違っていたのだろう。」
「お化け比べのときには若い娘さんがいました。白子屋さんのお静さん。でも最初の宴席はおばさんたちばっかりでした・・・・・。おどろ髪さん、若い娘さんを見ると悲しくなるのかな」
「どうもそのようだ。ひとつの要素としてそれがありそうな気がする。なあ、おりん。白子屋のお静にはおかしなことがあるよな?」
お化け比べの前にやって来た娘と、当日やってきた本物のお静とが別人であったということだ。
「七兵衛じいさんは、白子屋には外腹の娘がもう1人いるから、最初に来たのはそっちの娘じゃないかと考えているそうじゃないか。俺もその外腹の娘は大いにくさいと思うぞ。ここにも兄弟姉妹の葛藤というやつがあるじゃあないか。
おどろ髪はおりんに、俺は兄弟を殺したと言ったのだろう?兄と弟のいさかいと、若い娘の存在・・・・・どうもその辺りにおどろ髪が成仏できずにいる理由がありそうじゃないか」
おりんはひどく悲しい気持ちになって、鼻先がツンとした。
「あのね、おみつさんも言ってた。おどろ髪さんを迷わせているのは、若い娘さんに関わる事柄だって」
「なあんだ」玄之介はがくっと姿勢を崩した。「これは俺の発見ではなかったのか。おみつめ、俺にはそんなこと、ちらりとも匂わせてはおらなんだぞ。女は女同士というわけか」
「玄の字、あんたもバカだねえ」
突然、艶っぽい笑い声がして、おみつが2人の前にすうっと現れた。階段の1番下の段に横座りに腰掛け、すんなりとした首をよじって、こちらを見上げている。櫛巻きにした髪がつやつやと光って、沈丁花の匂いがする。
「男が心を乱すことといったら、女に決まっているじゃないか。あんたときたら、そんなことも分からないのかえ。粋人を気取ったところで駄目だねえ。」
おみつは紅いくちびるを尖らせて、うふふと笑った。
「言ってくれるなぁ」玄之介は苦笑した。
おりんは彼女のそばまで、階段をずり降りた。
「ねえ、おみつさん。あたしたちの考えていることは、きっと当たっていると思うの。あたしたちの考えているとおりだと思うの」
「そうだねえ。でもおりんちゃん、そんな一途な目で人を見るのは、いつか恋しいお人ができるときまでお待ちよ。あんたのその目ときたら、たいそうな出来物だよ。今は大事にしまっておきな。」
おりんは真っ赤になった。
「おみつさんたら、からかうんだもの」
「からかっちゃいないさ、本当のことだよ。とにもかくにも、おりんちゃん。おどろ髪はあんたにだけは心を開きかけているようだから、またあんたの前に姿を見せるように働きかけて、心にとめておいてやっておくれでないかい?あんまりしょっちゅう壁や障子に向かって話しかけていると、あんたのおっかさんが心配するだろうから、内緒でねえ」
「うん、分かった。そうします」
おりんがうなずいたとき、表の方から騒がしい声が聞こえてきた。おりんはぱっと立ち上がり、駆け出した。
おりんの母、多恵が心労により倒れたらしい。多恵は障子紙のように真っ白な顔をしていた。おりんは「お母ちゃん!」と叫びながら、太一郎の肩にもたれかかり、真冬の水のように冷たい母の手をにぎりしめた。
ふね屋の人々があわて騒ぐのを、玄之介とおみつは、階段に座ったまま静かに眺めていた。
「やあ、とうとう倒れてしまったか。開店早々のご難続きで、疲れが出るのも無理はないが・・・。しかし、これでおっかさんが寝付いてしまったりすると、おりんはますます可哀相だなぁ」
「あの子はしっかり者だからね」
おみつは言って、襟足のほつれ髪をしなやかな手つきで撫でつけた。
「女の子ってのは、悲しいものさ。しっかり者はしっかり者で、まわりの難儀を放っておけなくて、少しでも役に立とうと何でも引き受けるから、自分で自分を苦労させる。そんならうつけ者なら幸せかっていうと、これがまたそうじゃない。そういう女の子には、そのうつけに付け込む男がくっついて、ちゃんと苦労を運んでくるんだ」
「おいおい、嫌味を垂れてくれるなよ」
玄之介は首をすくめた。
そんな2人の前を、どたどたと慌しく、おつたが駆けて行く。どうやら医師を迎えに行くようである。おつたが外へ飛び出すと、奥から追いかけるように七兵衛じいさんの声がした。2人には内容までは聞き取れなかったが、おつたが元気よく「はい、分かりました!」と応じる声ばかりが威勢良く、空っぽの天井に響いた。
「俺の目には、あれもしっかり者の女の子のなれの果ての姿・・・・・まあ、しっかり者の一派に見える。それにおみつ、あの人は自分で自分に苦労をさせてるかもしれないが、楽しんでそれをやっているようだぜ」
おみつはすんなりとした首をうつむけて、深い溜息をついた。彼女があんまりうなだれたので、玄之介のところからは、うんと抜いた着物の後ろ襟を通り越して、背中の上の方まで丸見えになった。
「これはこれは、眼福だ」
玄之介の言葉に、おみつは頭を持上げると、さも呆れたというように舌打ちをした。
「なんだ、誉めているのに苦い顔かい?」
「まったく、あんたって本当に、女のことが何も分かっていないんだねえ」
玄之介はきょとんとした。おみつは彼には目もやらず、おつたが慌しく出て行った戸口の方へと首をかしげてみせた。
「あの女があんなに嬉しそうにしているのは、喜んで苦労を背負っているからじゃない。そんなことぐらい、あの顔にかいてあるじゃないか」
「どういうことだ?」
「想う男を手に入れるのに・・・」
おみつは憂いの顔のまま、ゆっくりと節をつけて謡った。
「邪魔をするのは たえぬ苦労の さざ波ばかり
漕いで渡るは 漕いで渡るは 浮き世の 女船頭
ちん、とん、しゃんとね・・・・・」
おみつ朝海さんが謡ってますねぇ(*´∀`*)
何だか色っぽい。
どんどん朝海姐さんにしか見えなくなってきましたね。
洗脳の域だな・・・コレは(笑)
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